2021年3月31日公開 |
「光触媒」+「UV LED」照明開発プロジェクト |
-Photocatalyst+UV LED- |
製品イメージ |
当社では従来よりUV-LEDを搭載した「除菌・ウイルス対策LEDフレキシブルライト」開発へ取り組んで参りました。 本プロジェクトでは目に見えない菌やウイルスのリスクを更に軽減し、より安心・安全、より快適に過ごすことができる空間創りへの新たなる提案として、「光触媒効果」を持ったLEDフレキシブルライトの製品化に向けて様々な検証・評価を進めています。光触媒が効果を発揮するためには「光エネルギー」が必須であり、LED照明と光触媒の組み合わせが最適と考えました。「UV-LED」に「光触媒」を複合的に組み合わせる事で、より効果的に除菌効果が得られる、独自の「防疫照明」の製品化へ取り組んでいます。 |
「防疫製品等推奨品マーク」取得 |
「光触媒」とは? |
光を吸収すると、他の物質に化学反応を引き起こさせる触媒機能をもつ物質の事を「光触媒(Photocatalyst)」と言い、光触媒が光(主に紫外線)を吸収することで起こる作用の事を「光触媒効果」と言います。一般的には「酸化チタン」が広く普及しており、様々な業界・製品で利用されています。酸化チタンに紫外線が当たると、その表面で酸化還元反応が起こり、その結果として有機化合物や細菌の分解が起こります。 □ 光触媒の効果分解効果 有害物質の除去、空気浄化、脱臭、殺菌 ①酸化チタン(TiO2)に光(紫外線、可視光)が当たる。 |
⑦また、水酸ラジカル(-OH)は水と非常になじみが良く親水性がある。光触媒の表面に親水性の層(-OH)ができる為、雨水や水道水が降りかかると、表面に付着した汚れと、酸化チタン表面の間に薄い水の膜ができることで汚れが浮かび上がり、雨水の流れとともに汚れを流し去ります(親水効果) |
光触媒+紫外線LED |
LEDフレキシブルライト本体に使用してるシリコーンに「光触媒」効果のある酸化チタン粉末を練り込み、紫外線LEDフレキシブル基板と一体押出成形。内部の紫外線LEDが至近距離で発光することにより、酸化チタンによる光触媒効果を最大限にすることが可能となります。本体素材のシリコーンは耐候性に優れ、紫外線に対しても劣化しません。 |
紫外線LED(UV-A) | シリコーンチューブ (酸化チタン含有) |
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【LEDフレキシブルライト断面】 |
開発製品に関して国内特許出願を完了しています。 ※特許出願番号 特願2020-133475 ※特許出願番号 特願2020-171303 |
人体に安全なUV-A |
紫外線はその種類(波長)により、人体へ様々な影響を及ぼします。波長の短いUV-B、UV-Cは人体への影響が大きいため、当社では人体への影響に配慮して紫外線LEDはUV-Aを採用。フレキシブル基板に最適化した自社独自のオリジナルUV-LEDデバイスを開発致しました。 UV-A (波長315-400 nm)紫外線の中では生物に与える影響が最も小さい波長帯域の紫外線。 UV-B (波長280-315 nm) 生物に大きな影響を与え皮膚がん等の原因となります。 UV-C (波長:100-280 nm) 最も波長の短い紫外線。皮膚がんや目の角膜へのダメージの原因となります。 |
日常生活に除菌効果を |
LEDフレキシブルライトは断面サイズが小さく、曲げて設置できる、長尺サイズ対応可能な特徴を生かして様々な環境でご使用いただけます(全長約50〜4000mm)。人体に安全なUV-Aを採用したことで、日常生活に寄り添ったあらゆるシーンで安心してご使用いただけます。医療施設・公共施設・ホテル宿泊施設・戸建住宅・マンション・商業施設・飲食店・生活のあらゆる環境を想定しています。また、菌の発生を抑制したい滅菌機器・食品衛生管理設備等への組込みにも対応が可能です。 |
プロトタイプ評価試験結果 |
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殺菌効果試験 黒カビ菌 (アスペルギルス菌) |
※すべての菌に対する効果を保証するものではありません。 |
●試験概要 |
実施機関 | 株式会社ファルコバイオシステムズ |
試験サンプル | UV-A光源+酸化チタン(試作サンプル) |
使用菌 | 黒カビ菌(A.brasiliensis) |
試験期間 | 2020年11月24日〜2021年1月6日 |
●試験方法 |
滅菌処理を施したシャーレへそれぞれ菌を接種し、①UV照射有+光触媒②UV照射のみの場合で生菌数に違いがあるかを検証実施。
一時間毎の時系列で生菌数の変化を測定、最終24時間経過後の結果を確認する。 ※生菌数 一定量中の試料中に含まれる細菌の量 |
●試験結果 |
試験開始24時間経過後のサンプルでは光触媒効果により除菌効果に差が認められた。※1
UV照射+光触媒のサンプルは初期に比べ約88%の除菌効果があった(UV照射のみのサンプルは約74%の除菌効果) |
試験開始時 |
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①UV照射有り+光触媒サンプル 24時間経過 |
②UV照射のみ 24時間経過 |
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※1「UV-A光源酸化チタンシートの殺菌効果試験」 最終報告書 49-YK10832 |
作用時間 | UV-A+光触媒 | UV-Aのみ |
生菌数 (CFU/mL) | ||
接種直後 (0時間) | 100,000 | |
1時間 | 100,000 | 100,000 |
2時間 | 150,000 | 90,000 |
3時間 | 140,000 | 130,000 |
4時間 | 120,000 | 110,000 |
5時間 | 140,000 | 130,000 |
6時間 | 130,000 | 120,000 |
7時間 | 200,000 | 120,000 |
24時間 | 12,000 | 26,000 |
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●考察 |
日本では身近なところにごく普通にみられるカビ菌で、放置されたパン等の食品や建材上に発生する。製品を劣化させるだけでなく、アレルギー性疾患の原因の一因でもある。
今回の検証により、一定の環境・条件下に於いて、UV-A光源及び光触媒よる除菌効果が確認ができた。またその効果はUV-A光源の単独条件よりも、光触媒を同時に使用したサンプルで顕著に表れた。今後は実使用環境を想定した検証を推進し、製品実用化へ向けて開発推進する予定である。 |
□
殺菌効果試験 黒カビ菌 (クラドスポリウム菌) |
●試験概要 |
実施機関 | 株式会社ファルコバイオシステムズ |
試験サンプル | UV-A光源+酸化チタン(試作サンプル) |
使用菌 | 黒カビ菌(C.sphaerospermum) |
試験期間 | 2020年11月24日〜2021年1月6日 |
●試験方法 |
滅菌処理を施したシャーレへそれぞれ菌を接種し、①UV照射有+光触媒②UV照射のみの場合で生菌数に違いがあるかを検証実施。
一時間毎の時系列で生菌数の変化を測定、最終24時間経過後の結果を確認する。 ※生菌数 一定量中の試料中に含まれる細菌の量 |
●試験結果 |
試験開始24時間経過後のサンプルでは両サンプル共除菌効果に差は認められなかった。
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試験開始時 |
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①UV照射有り+光触媒サンプル 24時間経過 |
②UV照射のみ 24時間経過 |
作用時間 | UV-A+光触媒 | UV-Aのみ |
生菌数 (CFU/mL) | ||
接種直後 (0時間) | 300,000 | |
1時間 | 280,000 | 310,000 |
2時間 | 250,000 | 180,000 |
3時間 | 290,000 | 150,000 |
4時間 | 230,000 | 220,000 |
5時間 | 290,000 | 220,000 |
6時間 | 330,000 | 150,000 |
7時間 | 210,000 | 210,000 |
24時間 | 230,000 | 230,000 |
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●考察 |
黒カビ菌の一種で、主に湿気の多い環境下(風呂場等)に於いて発生する。アレルギー性疾患の原因の一因でもある。
今回の検証に於いては、UV-A単体及びUV-A光源と光触媒の組み合わせ、共に差は見られず、カビ菌の種類によって効果が異なることが分かった。 |
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有機化合物分解効果試験 |
●試験概要 |
実施場所 | FKK社内 |
試験サンプル |
①乳白シリコーンチューブ+可視光LED ②酸化チタン混合シリコーンチューブ+可視光LED ③酸化チタン混合シリコーンチューブ+UV-A波長LED ※②③共、酸化チタンは0.3wt%混合 |
使用薬液 |
栄進化学製 染色浸透探傷剤(レッドマーク R-3B(NT)プラス) ※油を主成分とした水洗性浸透液(赤色) |
試験期間 | 2020年8月24日〜2020年9月4日 |
●試験方法 |
各シリコーンチューブの表面に染色浸透探傷剤を塗布する。
①~③の組み合わせでLED基板をチューブに挿入する(端部より全長1/4の長さまで挿入) それぞれのサンプルでLEDを点灯させ、時間経過により、チューブに塗布した染色浸透探傷剤の赤色の変化を確認する。 |
●試験結果 |
酸化チタンを混合したチューブ(②、③)に関してはLED点灯箇所の赤色が無くなり、染色浸透探傷剤塗布前の表面状態(乳白色)となった。
更にUV-A LEDをセットしたサンプル③に関してはLED点灯箇所を超えて、チューブの約2/3の長さまで変化が見られた。 一方、乳白シリコーンチューブを使用したサンプル①はLEDを点灯した箇所が黄変し、その他部分の赤色に変化は見られなかった。 |
試験開始時 LED点灯箇所 |
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①乳白シリコーンチューブ+可視光LED | ②酸化チタン混合シリコーンチューブ+可視光LED | ③酸化チタン混合シリコーンチューブ+UV-A波長LED | |
16時間 |
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24時間 | |||
120時間 | |||
400時間 |
●考察 |
結果より、酸化チタンの有無により赤色の変化(光触媒効果による赤色染料の分解)に明らかな違いが表れ、光源を可視光からUV-A LEDにすることで、更にその効果が高まる事が分かった。通常、光触媒効果は光が当たった箇所で有機化合物の分解作用が発現するが、今回LED光源点灯箇所以外までその効果及んだのは、LED光源を挿入したシリコーンチューブ内を光が拡散し、時間経過と共にその効果の範囲が広がった為であると考えられる。
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(本ページ内の評価データは開発中サンプルのデータとなります) |